飲食店経営でやってはいけない7つの習慣|売上・人手不足・メニュー改善で見直すべきこと
飲食店経営は、以前より明らかに難しくなっています。
帝国データバンクによると、2025年の飲食店倒産は900件となり、3年連続で増加しました。特に負債5,000万円未満の小規模倒産が全体の77.3%を占めており、中小規模の飲食店ほど厳しい状況に置かれていることが分かります。
つまり、今の飲食店経営では「なんとなく続ける」「昔のやり方のまま頑張る」だけでは危険です。
大事なのは、努力を増やすことではありません。
やめるべきことをやめ、見直すべきことを見直すことです。

1. 無料サービスばかり使おうとしない
コストを抑えることは大切です。
しかし、無料ツールだけで何とかしようとすると、逆に時間を失うことがあります。
無料サービスには、機能制限、広告表示、管理の手間、データの分散、サポート不足があります。最初は安く見えても、店主やスタッフの時間を奪っているなら、それは本当の意味では無料ではありません。
飲食店で一番不足しているのは、お金だけではありません。
時間、人手、集中力です。
無料で使えるかどうかではなく、次の視点で判断するべきです。
- この仕組みで作業が減るか
- ミスが減るか
- スタッフが楽になるか
- お客様が使いやすくなるか
安いから使うのではなく、現場が楽になるかで選ぶことが大切です。
2. SNSをやるなら、DMを放置しない
Instagramを更新しているのに、DMには返事をしない。
これは非常にもったいない状態です。
今のSNSは、ただ投稿を見る場所ではありません。お客様が質問し、予約し、来店前に確認する場所でもあります。
InstagramのDM予約では、メッセージを送っただけでは予約確定ではなく、店舗側の返信を待つ流れが一般的です。
つまり、DMを放置することは、来店前のお客様を入口で止めているのと同じです。
完璧な返信でなくても構いません。
まずは、次の3つだけでも決めておくと対応しやすくなります。
- 返信する時間帯
- 予約・問い合わせ用の定型文
- 返信できない場合の案内方法
SNSは投稿して終わりではありません。
反応が来た後の対応まで含めて、店の印象です。
3. 気合いで解決しようとしない
「もっと頑張れば何とかなる」
「人が足りないなら自分が動けばいい」
「忙しい時期を乗り越えれば大丈夫」
この考え方は、短期的には必要な場面もあります。
しかし、長く続けると店が壊れます。
日本政策金融公庫の生活衛生関係営業の景況調査でも、飲食関連事業者から「原材料費・人件費の上昇」「価格転嫁の限界」「人手不足による営業日数の減少」といった声が出ています。
これは、個人の努力だけで解決できる問題ではありません。
やるべきことは、気合いを増やすことではなく、負担を減らすことです。
たとえば、注文対応を減らす。メニュー管理を簡単にする。問い合わせ対応を型にする。売れていないメニューを整理する。スタッフが迷わない仕組みを作る。
飲食店経営に必要なのは、根性ではなく、仕組みです。
4. 価格設定とメニューを放置しない
「これは看板メニューだから」
「昔から人気だから」
「お客様がよく頼むから」
そのメニューは、本当に店に利益を残していますか。
注文数が多くても、原価が高く、手間がかかり、単価が低ければ、店を苦しくしている可能性があります。
逆に、注文数は少なくても利益率が高く、スタッフの負担が少ないメニューもあります。
メニューエンジニアリングでは、メニューを「人気」と「利益性」の両面から分析する考え方が使われます。研究でも、メニューの人気度と収益性を見て価格や構成を判断する手法として説明されています。
見直すべきなのは、味ではありません。
数字です。
最低限、次の4つは把握しておきたいところです。
- よく出るメニュー
- あまり出ないメニュー
- 利益が残るメニュー
- 手間がかかりすぎるメニュー
看板メニューだから残すのではなく、店を支えているメニューかどうかで判断するべきです。
5. お客様に厳しくなりすぎない
「料理で見てもらえばいい」
「分かる人だけ来てくれればいい」
「うちはこういう店だから」
この考え方が強くなりすぎると、サービス業であることを忘れてしまいます。
もちろん、飲食店にとって料理は重要です。
しかし、お客様は料理だけを見ているわけではありません。
入りやすさ。注文のしやすさ。待ち時間。スタッフの雰囲気。メニューの分かりやすさ。支払いのしやすさ。
これらもすべて、店の価値です。
「料理が良ければ分かってもらえる」という考え方は危険です。
今のお客様は、来店前に写真、口コミ、メニュー、営業時間、価格帯を確認します。飲食店のWebサイトやオンライン情報を来店前に確認する人が多く、情報不足や分かりにくさが来店判断に影響することも指摘されています。
料理を大事にするなら、料理までたどり着く体験も大事にするべきです。
6. 鈍感にならない
一番危ないのは、急に悪くなることではありません。
少しずつ悪くなっているのに、気づかないことです。
客数が少し減る。原価が少し上がる。スタッフが少し疲れる。常連の来店頻度が少し落ちる。予約の入り方が少し弱くなる。
この「少し」が積み重なると、気づいた時には店全体が苦しくなっています。
農林水産省も、食品価格の形成について、原材料費、労務費、エネルギーコストなどの上昇を踏まえた合理的な価格形成の必要性を示しています。
状況が変わっているのに、店だけが変わらない。
これが一番危険です。
毎月、最低でも次の数字は見てください。
- 売上
- 客数
- 客単価
- 原価率
- 人件費
- よく売れたメニュー
- 売れなかったメニュー
感覚ではなく、数字で店を見る。
それだけで判断の遅れは減ります。
7. 長いYouTube動画で語りすぎない
食文化、こだわり、店主の想い。
もちろん大切です。
しかし、初めて店を探しているお客様が最初に知りたいのは、長い話ではありません。
多くの場合、知りたいのは次のような情報です。
- 何が食べられるのか
- いくらぐらいなのか
- どんな雰囲気なのか
- 今営業しているのか
- 予約できるのか
- 一人でも入りやすいのか
- 子連れでも大丈夫なのか
SNSや動画で飲食店を知る人は増えていますが、来店につながるのは「見た人がすぐ判断できる情報」です。2025年の調査でも、SNSや動画サイトで気になる飲食店に出会う人が多く、訪問前の事前リサーチにSNSを活用していることが示されています。
つまり、動画を出すなら、語るより見せるべきです。
長いこだわり動画より、15秒の料理動画。分かりやすいメニュー紹介。今日のおすすめ。空席情報。注文しやすい導線。
お客様は勉強しに来るのではありません。
食事をしに来ます。
小さな見直しが、現場の余裕につながる
今の飲食店経営で必要なのは、派手な改革ではありません。
やるべきことは、もっと現実的です。
無料にこだわりすぎない。DMを放置しない。気合いで回さない。メニューと価格を数字で見る。お客様の使いやすさを軽視しない。小さな変化に鈍感にならない。長い説明より、来店判断に必要な情報を出す。
飲食店の倒産が過去最多となる時代では、「昔からこうしている」は安全ではありません。
店を守るために必要なのは、頑張り続けることではなく、変えるべきところを変えることです。
注文、メニュー、問い合わせ、情報発信。
このあたりの小さな負担を減らすだけでも、店の動きは変わります。
飲食店は、人の手が必要な仕事です。
だからこそ、人がやらなくてもよい作業は、少しずつ仕組みに任せるべきです。
QrodaのようなQR注文やデジタルメニューの仕組みも、その選択肢の一つです。
目的は「人を減らすこと」ではありません。
店主とスタッフが、料理と接客に集中できる時間を取り戻すことです。